結論: 品質を「優れている」と示す表示は、裏づけとなる資料を手元に残す
景品表示法(正式名は不当景品類及び不当表示防止法)の第5条第1号は、商品の品質や規格などの内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁じています。条件として、不当に顧客を誘引し、消費者の自主的で合理的な選択を妨げるおそれがあると認められることも挙げられています。この類型が「優良誤認表示」です。
米粉商品では、「米粉100%」「グルテンフリー」「パン用」「国産米使用」のように、中身や適性を示す言葉が品質の表示に当たりえます。表示した内容は、あとから根拠を示せる状態にしておく必要があります。理由は次の節にある第8条第3項です。
出典: e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」第5条(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134)。確認日2026-11-07。
図表1: 条文で確認できる優良誤認表示の扱い
| 条文 | 書かれている内容 |
|---|---|
| 第5条第1号 | 品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示(他の事業者の同種の商品より著しく優良であると事実に反して示す表示も含む)で、消費者の合理的な選択を妨げるおそれがあるものを禁止します。 |
| 第7条 | 第5条に違反する行為があるとき、内閣総理大臣は、その行為の差止めや再発防止に必要な事項などを命じることができます。違反行為がすでになくなっている場合も、命令できます。 |
| 第8条第1項 | 第5条に違反したときは、課徴金の対象となる期間の対象商品の売上額に3%を乗じた額の課徴金の納付を命じます。ただし、表示が優良誤認に当たることを知らず、知らないことに相当の注意を怠っていない場合や、額が150万円未満の場合は、命じることができません。 |
| 第8条第3項 | 優良誤認に当たるか判断するため必要があるときは、表示をした事業者に、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。期間内に提出しないと、その表示は優良誤認表示と推定されます。 |
| 第8条第5項 | 基準日から10年以内に確定した課徴金納付命令を受けたことがあり、その後も対象行為をしていた事業者は、率が3%から4.5%になります。 |
出典: e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」第5条・第7条・第8条(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134)。確認日2026-11-07。第8条第2項の「課徴金対象期間」は、違反行為をした期間にやめた日から6か月以内の取引を加えたもので、最長3年とされています。
米粉の表示で「裏づけ」になりうるものと、ならないもの
農林水産省が2017年3月29日に公表した「米粉の用途別基準」と「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」には、表示の言葉と検査・基準の結びつきが書かれています。下の表は、その内容と、景品表示法との関係を分けて並べたものです。
| 表示したい内容 | 農林水産省公表の資料に書かれていること |
|---|---|
| 「ノングルテン」 | ガイドラインの対象は、検査でグルテン含有量が1ppm以下だった米粉です。表示するときは、表示する事業者以外の第三者機関の検査を受け、「ノングルテン」の語に1ppm以下の旨を付記するとされています。 |
| ノングルテンの米粉を使った加工品 | 当該米粉を主な原料にし、ほかの米粉・グルテン・食品表示法で表示が義務づけられている範囲の「小麦」を含まない加工品は、原材料としてグルテンと小麦を含まないノングルテンの米粉を使っている旨を表示するとされています。 |
| パン用・麺用などの用途 | 用途別基準(粒度、澱粉損傷度、アミロース含有率、水分含有率など)を満たしたものについて、1番(菓子・料理用)、2番(パン用)、3番(麺用)の用途を表記するとされています。 |
| グルテンを添加した米粉 | パン用(2番)のグルテン添加率は18〜20%程度で、グルテンを添加している旨を明記する必要があるとされています。 |
出典: 農林水産省「『米粉の用途別基準』及び『米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン』の公表について」(https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/nonglu-5.pdf)。確認日2026-11-07。
同じ資料は、用途別基準の位置づけを「米粉製造業者による共通の用途別の米粉の基準に基づく自主的な製品製造の取組を促すためのもの」、ガイドラインの位置づけを「グルテンを含まない製品の表示の自主的な取組を促すためのもの」と書いています。つまり、これらは法律ではなく自主的な取組の基準です。基準に沿った検査記録は、表示の裏づけとして示せる資料の候補になりますが、基準に沿っていれば景品表示法に違反しないとまでは、資料には書かれていません。
表示の言葉ごとの確認の手順
- 「ノングルテン」「グルテンフリー」と書くとき: 資料の1ppm以下の検査結果と、第三者機関の検査の記録を残します。「グルテンフリー」と「ノングルテン」の言葉の違いと、認証の制度はノングルテン認証と製造工程管理JASで確かめます。
- 「パン用」「麺用」と書くとき: 粒度、澱粉損傷度、アミロース含有率、水分含有率の測定結果が、用途別基準の数値に収まっているかを測定記録で確かめます。上新粉など既存の用途向けの米穀粉は、基準の対象外とされています。
- 袋の表示を読む側: 表示から用途区分を確かめる手順は米粉の袋の表示から用途区分を確認する手順、袋の確認項目は米粉の袋表示の確認チェックリストにあります。
- アレルゲンや原材料名の表示: これらは食品表示法の話で、景品表示法の優良誤認とは別の法律です。米粉とアレルギー表示で扱っています。
このページで判断しないこと
特定の商品の表示が優良誤認表示に当たるかどうかは、表示全体の見え方や実際の中身を踏まえて判断されるもので、このサイトは個別の適否を判断しません。迷う表示は、消費者庁の景品表示法の案内ページや、事業者向けの相談窓口、専門家に確かめてください。
米粉の表示と制度を一覧で見たいときは米粉製品の表示・制度 早見表が入口です。
よくある質問
米粉の自主ガイドラインに従っていれば、景品表示法に違反しませんか
そうは言えません。農林水産省の資料では、用途別基準と表示ガイドラインは製造業者の自主的な取組を促すためのものと位置づけられています。景品表示法に違反するかどうかは、法律の条文に照らして判断されるもので、このサイトでは個別の表示の適否は判断しません。
課徴金は必ず課されますか
第8条によると、事業者が表示が優良誤認に当たることを知らず、知らないことに相当の注意を怠っていない場合や、課徴金の額が150万円未満になる場合は、納付を命じることができないとされています。
ノングルテンの表示を考えています。何を確認すればよいですか
農林水産省公表のガイドラインでは、米粉のグルテン含有量が1ppm以下であることを検査で確かめ、第三者機関の検査を受けたうえで「ノングルテン」と表示し、1ppm以下の旨を付記するとされています。製品の認証や制度の詳細は、ノングルテン認証のページで扱っています。