結論: 家庭で挽いた粉の粒径・損傷度を示す公的資料は確認できず、基準の数値は製粉の条件で変わる
農林水産省の用途別基準は、粒径75μm以下が50%以上、でんぷん損傷度10%未満が3区分共通です。この基準は、製造工場ごとに品質がばらつく課題に対し、製造業者の自主的な取組みを進めるために検討されたと農水省の解説にあります。家庭で挽いた粉をこの区分に当てはめる仕組みは、今回確認した資料には書かれていません。
粒径と損傷度は、製粉機の種類と、米を水に浸すかどうかで変わります。ただし、確認できた数値は業務用機と研究用機のものです。家庭用の製粉機の数値は載せません。
図表1: 農林水産省の用途別基準の粒度とでんぷん損傷度
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 粒度 | 粒径75μm以下が50%以上(1番・2番・3番共通) |
| でんぷん損傷度 | 10%未満(1番・2番・3番共通)。測定は酵素法(AACC法76-31) |
| 基準の位置づけ | 2017年3月29日に公表。製造業者の自主的な取組みを進めるために検討された |
出典: 農林水産省「米粉の用途別基準」(https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_summary/08/rice_flour_charac_teristic_03.html)本文。確認日2026-10-13。基準の読み方は用途別基準ページにまとめています。
図表2: 製粉の条件で粒径・損傷度が変わる例(公的機関の資料)
| 資料 | 製粉の条件 | 粒径 | でんぷん損傷度 |
|---|---|---|---|
| 新潟県農林水産業研究成果集(平成24年度) | うるち精白米を60分以上浸漬し、脱水してピンミルで製粉 | 平均粒径約75μm以下(200メッシュパス程度) | 4%以下 |
| 農水省「米粉用製粉機紹介」(気流式微粉砕機・乾式) | 機種により異なる。原料の性状でも変動 | 平均粒径8〜150μm | 7〜13% |
新潟県の成果集では、浸漬時間が増えるほど損傷度は下がるとされています。粒度を細かく篩い分けた粉ほど、パンの比容積(焼き上がりのふくらみ)は大きくなり、200メッシュパス程度が目標とされています。製パンはホームベーカリーで、グルテン17%配合で行われたものです。配合や作り方で結果が変わる点に留意するよう、成果集に書かれています。
農水省の製粉機紹介の数値は、製造者が示した機種の範囲です。同じ資料の注記に、原料の性状により変動があるとあります。湿式製粉した米粉の流通や長期保存には、乾燥による水分調整が必要だとも成果集にあります。
出典: 新潟県「ピンミル製粉機によるパン用微細米粉の製造技術」(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/216731.pdf)、農林水産省「米粉用製粉機紹介」(https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/ricemill-28.pdf)本文。確認日2026-10-13。測定法は成果集が酸溶解度法、農水省の基準が酵素法のため、数値は直接比べられません。
自家製粉の粉を使うときに、公表資料から言えること
- 基準の区分は、家庭で挽いた粉を対象にしていない。農水省の資料では、区分は米粉製造業者の自主的な取組みのための基準とされ、袋の用途表記は市販品の目安です。市販米粉の見方は米粉の表示から用途区分を確認する手順にあります。
- 粒径と損傷度は、条件で数%から十数%まで動く。図表2の2資料だけでも損傷度は4%以下から13%まで開きます。自家製粉の粉の損傷度が基準内かは、測定しないと分かりません。
- 損傷度は吸水に関わる。損傷度と水加減の関係は米粉の吸水率・損傷でんぷん・水加減の関係で確認できます。市販粉のレシピの水加減をそのまま使えるかは、資料からは言えません。
家庭用の製粉機や米粉ミルの性能、おすすめ機種は、公的資料で確認できなかったため載せません。
よくある質問
家庭で挽いた米粉は、用途別基準の1番・2番・3番に当てはまりますか
確認した資料に、家庭で挽いた米粉を区分に当てはめる仕組みは書かれていません。農林水産省の資料では、用途別基準は米粉製造業者の自主的な取組みを進めるために検討されたものと説明されています。
用途別基準の粒度とでんぷん損傷度の数値は何ですか
粒径75μm以下が50%以上、でんぷん損傷度が10%未満で、1番・2番・3番に共通の基準です。
米を水に浸してから挽くと、でんぷん損傷度はどう変わりますか
新潟県の研究成果では、うるち精白米を浸漬してからピンミルで製粉すると、浸漬時間が長いほど損傷度が下がり、60分以上の浸漬で平均粒径約75μm以下、でんぷん損傷度4%以下の米粉になったとされています。ただし、これは研究用の製粉機での結果で、家庭用の機器での結果ではありません。
各回答の出典は図表1・図表2の出典と同じです(確認日2026-10-13)。
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